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昨今の美術商業界について。

今回は少々、私の商売の宣伝をさせてください。

今、この経済状況のなかで、当然ではあるのですが、特に高額なものが厳しい、売れないといわれています。絵画に限っていえば、川合玉堂、竹内栖鳳、横山大観、前田青邨、橋本関雪、堂本印象、山元春挙といった近代日本画の巨匠。こういう所謂新画といわれる世界の大御所の作品が売れないといわれます。そして、そのことが全体に悪影響を与えているという印象を受けます。しかし、それは単純に経済情勢に因るのでしょうか。これまで、百万円以上の高額絵画の80%以上が百貨店を通じて販売されているといわれてきました。つまり、言い換えれば、百貨店で絵画が売れないということです。私は、その要因が、単純に経済状況に因るのではなく、美術品における百貨店商売、あるいはその商法が急速に破綻しつつあるのではないかと感じます。これは、百貨店に出入りする業者から日頃普通に聞かされることですが、百貨店という世界は、安いと売れないのだそうです。高いほうが売れる。私の印象を控えめに継ぎ足せば、交換会(業者のオークション)で120万円の川合玉堂であれば、300万円前後のプライスカードが付いているという具合に。そして、お客が買う気のあるときに、食わせるだけ食わせるのだそうです。あらかじめ値引きを想定し高いプライスを付け、巧言令色に美辞麗句をならべて食わせる。いえ、お買いいただく。私は、悪いのは業者の側であると思います。しかし、すべての百貨店のお客さんがそうだとはいわないまでも、おおよそ百貨店で絵を買う人というのは、本当にその作家が好きで、その作品が好きで買うのではなく、要するに、百貨店の外商にごひいきにされることに自尊心を満足させて、その有名作家というブランドを買う(買わされる)のではないでしょうか。少々言葉が過ぎたかもしれませんが、しかし、そういう百貨店商売によって、何よりもわれわれ美術商が悲しむべきことは、結局、お客さんを金儲けのために使い捨てにしてきただけで、本当の美術品愛好者を育ててこなかったことではないかと思います。私は、そういう百貨店マーケットというものが、ここにきて急速に縮小しているのは、ただ単に経済的要因だけではなく、そういう百貨店商法に巧く乗ってきた美術商自らの責任ではないかと感じているのです。しかし、それはそれとして、その影響によって新画の価格が下がることは、だからといって、川合玉堂や竹内栖鳳の画家としての価値が下がるわけでは絶対にありませんので、本当に絵の好きな方が、普通の収入のなかで、川合玉堂や竹内栖鳳を買っていただけるのならそれはそれで良いことではないかとも感じております。

少々が長くなってしまいましたが、長良川画廊のこれまでの姿勢もこれからの姿勢も、百貨店があいかわらず高額美術品の主要マーケットであっても、そこで、苦労して仕入れてきた一点一点の作品を売ろうとは全く思いません。今後もできる限り、魅力のある価値ある作品を一点一点大切に私の思いを込めて、みなさまにご紹介していければと考えております。

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