目利きの話し(椀伏せ)
昨日は、東京の美術倶楽部で行われる交換会に行っておりました。
交換会というのは、商人による競売買の場のことで、多くの交換会は、競り方式で行われます。昨日の交換会は、以前はこの「競り方式」でなく「入札方式」で行われておりました。入札方式というのは、書画骨董界では「椀伏せ」と呼ばれ、紙を貼ってあるアルミの椀(学校給食で使われていたような椀)に入札金額を書き、円盤を飛ばすがごとく札元に向かってひらひらと投げ込みます。競り方式の場合は、先ず、会主(交換会の主催者)が発句をし、そこから参加者の声によって値を上げていきます。椀伏せとは違い、全体の雰囲気とか、声を出している人がどういう人かを覗いながら声を出すことができるので、物に対して少々自信がなくても、競り落としたり、競り合ったりすることができます。しかし、椀伏せの場合は、自分だけの判断で値踏みをするので、物がわからなければ入札することが難しい。要は目利きの眼が試されることになります。椀伏せの交換会というのは、わたしのような駆け出しには難しく厳しい取引の場ではありますが、しっかりと品物を見ることができ、品物を見ながら諸先輩の話しを伺うこともできるので、勉強には大いになるわけです。いうなれば、昔ながらの風情ある伝統スタイルがこの「椀伏せ」の交換会ということです。しかしながら、進行に時間がかかり、多くの商人が参加しずらい椀伏せの交換会は、時勢に合わずだんだんと姿を消しています。昨日の交換会も、そんな事情から、以前は関東を代表する椀伏せの交換会の一つでしたが、現在はすべて「競り方式」に変わってしまいまいました。わたしにとっては、どちらにしても厳しい仕入れの場にはかわりありませんが。
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